CORONA

2017.10.31

Corona CONNECTIONS vol.05 : MofM(man of moods) クリエイティブディレクター/渓流プロフィッシャー 福山正和

「生きることは楽じゃないし、しんどい。ただし、そうやって生きてた方が面白い」。そう語る福山氏は、プロスノーボーダー、ファッションモデルを経て、現在ブランドディレクターとして、群馬の水上(みなかみ)を拠点に活動している。華々しいキャリアを築き上げた上で、群馬に移住を決めた理由とは? また自らが今、最も心血を注いでいるという渓流フィッシングを通して、その刺激的な生き様を語ってもらった。

ー 山に魅了されて群馬へ移住を決意

移住したのは今から4年前ですね。群馬の谷川岳へ行った時、そこの雪の質や斜面もそうだけど、ローカルの雰囲気とか、いろんな要素を見たときにそこが抜群にいい山だったってのが移住の理由。それまでもスノーボードを通して、国内外いろんな山を見てきたけど、谷川岳はその中でも俺の性格に合うし、めちゃくちゃいい山だったから移住を決めました。

ー 渓流フィッシングを始めたきっかけとは

移住してすぐ登山を始めたんですけど、気付けば4年間で4000km歩いてました(笑)。まずは登山道からスタートして。舗装された道を全部登ったところで、次は川や沢を登るようになって。ここには、まだまだ手つかずの自然があったり、秘境があるんだけど、そこにはめちゃくちゃいい魚がいることをそこで知ったんです。それから釣りを始めて、ときには車や徒歩ではいけない場所にも足を延ばしたり。人が行かないようなポイントへ行くにはボートが必要だったから、ボートも買って免許も取ってね。

ー ここではどんな1日を過ごしているのか

朝の5時くらいに山に登って、目星をつけておいたポイントへ行って釣りをします。打率でいうと6割くらいかな、そんで釣りから帰ってきて仕事へ行くのが12時から13時頃。そんな生活を一年のうち、半分くらい送ってます。

ー 福山さんの渓流フィッシングに対するモチベーション

まだまだ極められてないから、今年はたくさんのスポットをリサーチする年にしたいし、そのための時間を取るようにしてて。いろんな情報や過去のデータが今どうなっているか、自分の足を使って確かめないといけないんですよね。そのために4000kmも歩いてるんだから(笑)。そこまでしないと、自分の実力にはならないと感じるんです。

ー かなりストイックな姿勢で臨んでますね

そうすることで、やっと山岳エリアで極上の釣りができるようになると思っています。その一方で、俺とは違うスタイルを持つプロフェッショナルはまだまだいっぱいいるのも知ってる。だから時々、別のスタイルの釣り人と会って、技術を勉強したりセッションしながら探り合う、それも釣りの一つの醍醐味ですね。

ー そういう感覚はプロスノーボーダー時代か、それともファッションを通して培われたもの?

スノーボードも似たところがあって、いろんな国によってスタイルがあるから、それを盗みながらも、同じことばっかりやってても仕方がないって思ってやってきました。ファッションもそうで、ミリタリーがあったりストリートがあったり、同じ洋服でも俺と違うジャンルでとんでもなくやばい人がいっぱいいる。その中で自分のスタイルを確立させていくってのは、釣りも一緒かもね。

ー 今、注ぎ込んでいるフィールドワークが洋服にも落とし込まれる?

そうかも、SSのテーマも全部、釣りにしてるからね。それに釣りに対して金も時間も体力も気力も費やしてると、すごく中毒性も高いんですよ。いくら釣っても釣っても足りないし、毎朝出かけたくなる。もうね、人生を一回捨てないといけないかって思うくらい、没頭してるんです(笑)。そうなると、やっぱり男は常にハンターなんだって感じますよね。

ー あまりに釣りに没頭して、仕事や生活がおろそかになることは?

うん、犠牲になるものは多いし、それは自分でもめちゃくちゃ怖いですよ。例えば洋服の型数が減って、仕事量も減って、周りから人がいなくなっていったりもしますしね。俺自身も周りをシャットアウトしたりするから。今、目の前にあるやりたいことを全力でやるし、何をやるにも全力になる。でもそうやっていくの、面白いんですよ。そこまでして何かを突き詰めていくのは面白い。

ー そんな福山さんが何かをやる時、根幹にあるもの

俺は自分でもめんどくさい生き方をしていると思うけど、でもそうじゃないと成功できない部分もあると思うんです。面白い、楽しいと思いながらも、不安やしんどさはちゃんと半分ある。ポジティブな気持ちとネガティブな気持ちは50:50だし、それは誰も一緒。ただまぁ、そうやって生きてた方が俺は面白いと思うけどね(笑)。とある大物歌手が昔「やる奴はやる、やらない奴はやらない」って言ってたけど、本当にその通りだと思ってます。

ー コロナは“This is Living”というメッセージを掲げています。直訳すると“日常の喧騒から抜け出し、生きていることを実感しよう“という意味を持つのですが、福山さんにとっての“This is Living”は?

今、一番力を注いでいることが釣りです。釣りをしている時がとにかく楽しい。2017年は、自分の時間を削って一年のうちで150日くらい行ったんです。釣りを極めたろ、と思って。

photo:Nobuhiro Fukami, phot_MofM(snow), michito tanaka(fishing)
text:Wakako Matsukura
edit:Yoko Onishi
special thanks:A_UNN PR

MASAKAZU FUKUYAMA 福山正和

MofM(man of moods) クリエイティブディレクター/渓流プロフィッシャー

10代からスノーボードを始め、国内外のショーレースで数々の受賞記録を打ち立てる。グローバルブランドなどを含め10社との契約を結び、日本を象徴するトップスノーボーダーとして10年間活躍する。その傍らファッションモデルとして様々な媒体に登場。独学で服作りを学んだ後、2004年に自身のブランド「M of M(man of moods)」を立ち上げる。2013年に群馬へ移住し、2016年からmegabass社とプロ契約を結び、現在、渓流プロフィッシャーとして活動の場を広げている。

http://www.manofmoods.com/

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